「何のつもりだ…」

一定の距離を保ちつつ、な背後からの気配に辛抱たまらず立ち止まった。
そしてゆっくり振り返る。
いくら無口でも存在がやかましい(だってその存在感たら)上かさばるったらない男が先ほどからずっと後をついて回るのだ。
サンジでなくともそりゃあ我慢ならんだろう。
むしろよく今まで知らん顔が出来たもんだとさえ思う。
「あのよ、やっと片付けが終わりそうなんでオレはゆっくりしたいわけだが…」
オマエは何してる?
さっきから。
やっぱり一定の距離のまま、問われたゾロはと言えば無言。
眉間にむぅと皺を寄せ偉そうに腕組み。
「…なんか言えよ。」
促してみるが態度は変わらず。
おまけにさっぱりその意図が読めない。
つい今までの行動も、現在のこの態度も。
何からどうツッコんだもんかと顔を顰めると、ようやくゾロは口を開いた。
「テメェが風呂入んの待ってる。」
「は?」
今なんと?
「風呂入んの待ってる。」
いやそれはもう分かった。
だから、
「なンで?」
と聞きたい。
とても。
けれど聞いたその瞬間、後悔する事になるなんて誰が予想出来る?

「一緒に入るからだ。」

え。

涼しい顔(いやくどいようだが存在はヒジョウに暑苦しい)してさらりと爆弾発言。
だから今なんとおっしゃいましたか?
「はあ?!」
聞かなかった事にしたい。
サンジは暫し大口を開け、目の前の腹巻男を凝視した。
何を考えているのか。
だいたい男同士で何故一緒に風呂に入る必要が?


互いに同性にあるまじき『特別な感情』を持っていて、それを知っていたとしても、だ。


ハッと我に返ったサンジは慌てて拒否。
このまま黙っていれば、勝手に事を進められてしまう。
いや黙っていなくても進められてしまうのだがまあそれはまだ後の話で。
「なんでオレがテメェと風呂入んなきゃなんねんだ!意味分かんねぇよ!!」
つまり丁重にお断り致します、と。
そりゃそうだ。
当然だろう。
が、そんな理屈ゾロには通用しない。
悲しい事に今までも通用した試しがない。
きっとこれからも。
「…今日は何月何日だ。」
やっぱりキレイに無視。
この男ときたらどうして予想に違わずいつもいつまでもこうなのか。
何だコイツはと見開かれた瞳に追い討ち。
「答えろ。」
偉そうに命令と来た。
今のこの状況で、誰がするりと答えられるのか。
そこんとこ詳しく説明してもらいたいとサンジでなくとも思うはずだ。
どっちにしろ黙ったままでいる気だが。
ゾロが何を言わせたいのか、よおく分かる。
ので尚の事答えたくない。
が、黙ったままじぃっと見詰められるとなんだか揺らぐ。
「なっ、なんだよ。」
何見てんだよ。
居たたまれなくて質問してみるが、それでもゾロはそれ以上口を開かない。
黙って見詰めるだけ。

あの目で見られるとどうにも弱い。
硬直状態ニ、三分。
結局それに耐え切れずで折れたサンジはその日付けを口にした。
「…十一月十一日。」
それが、何か?
これ以上は折れてなど、やるものか。

いくら誕生日だろうとも。

ゾロの眉間が不機嫌そうに深い皺を刻む。
ついさっきまで祝いだと宴会を繰り広げていたくせになんて今にも口にしたそうだ。
分かっているが折れない。
折れないったら。
心に決めたサンジだったがそれを貫き通せた事がはたしてあったろうか。
しかしそんな事をぐるぐると考えているとまだ言わせるかと思われた相手はあっさり折れた。
「今日はオレの誕生日だ。」

いや知ってるけどさ。
サンジは首をかしげる。
「…だからなんだよ。」
改まって。
さっきの話とそれと、何の関係が?
自分から聞いておいてだが、問うた本人とってもヤな予感。
「いや、やっぱ言わなくても…」
イイヨ。
そう言ってこのまま放置してやれ。
思って口に出しかける最後の三文字。
ソコ一番大事。
なのに、
「何してもいんだろ?」

遅かった。





ええー…と…
だからたまにはちゃんと祝おうったら(汗)



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