【恐怖に怯える島民! 人肉を食らう獣出現!!】


【潜入取材! 平和な森に突如棲みついた獣の正体に迫る!!】


【島民衝撃証言! 獣の正体は人間!!??】




 我々、取材班が到着した島は、一風変わった島の多いグランドラインでは平和でなんの変哲もない普通の島であった。
 まさかこの島にあれほど恐ろしい生き物が生息しようとは想像だに出来ない。
 半信半疑ながらも、取材を開始した我々は、だがすぐに疑いを捨てざるをえなかった。複数の島民が涙ながらに語る訴えは悲壮であり、虚言であるように見受けられなかったのだ。


 島民Aさん(66)証言

「うちの孫が帰って来ねぇんだ。まだ五才なのに、きっと鬼に食われちまったに違いねぇ。あれほど森には近づくなって言っておったのに……(嗚咽)」


 島民Bさん(14)証言

「山菜を採りに森へ入ったの。怖い獣のことは知っていたけれど、まさか自分が遭遇するなんて思わなくて。襲われて、左腕を獲られちゃったけど、命が助かっただけでも幸運だってみんなが言うの。だってもう何人も食べられちゃってるから――――」


 島民C氏(42)証言

「いつの頃からか森に「ひと喰い鬼」が棲むようになった。ああ。あの恐ろしい化けモンのことを一部の島民は「ひと喰い鬼」って呼ぶんだ。
半年ほど前に浜に遭難船が打ち上げられたから、その船にアイツは乗って来たのかもしれない。
鬼をやっつけようと森に入ったものはひとりも帰って来ない。島の自警団は十五人とも一日で殺されてしまった。よその島から勇気ある猛者たちが鬼を駆逐するためにやって来たが、全員返り討ちにされた。二週間前、金髪の男がやって来たのを最後に外部からの援軍はない。恐らく、その最後の挑戦者も食べられてしまったのだろう。
この島は呪われている。あなた達もはやく島から出て行ったほうがいい。そのときには俺の家族を船に乗せてくれ。もうこんな島では生活できやしない。お願いだ」


 島民Dちゃん(4)証言

「くらやみのなかに、ふたつの目が光っていたの」







鬼を喰らう獣






 
俺は血の滴る生肉を咥え、住処としている洞穴へと戻った。俺の足跡の横に、血筋が連々と同行している。どこから来て、どこへ行こうとしているのか、一目瞭然だが、恐れることはない。
 この森では、俺が最強だ。
 息を殺す必要も、姿を隠す意味も、空腹を堪える忍耐もいらない。
 本能のまま、息をし、獲物を殺し、肉を食い、排泄をし、眠る。
 余計な思考や倫理、欲望や卑小な感情を捨て去った俺は、一匹の獣になった。鋭い牙と研ぎ澄まされた爪の代わりに、三本の刀を持った獣に。
 真新しい餌を口に咥えているのは、四足歩行をしているせいだ。いつからか手は手としての役割ではなく、前足となっていた。
 夜目が冴え、闇夜でも昼のように天地左右を見渡せるうえに、嗅覚が鋭敏になり、餌となる生き物がどこにいるのか一瞬で理解できる。
 葉が風に揺れる音すら轟音に聞こえるようになった耳には、殺される間際の獲物の心臓が縮み上がる音すら聞こえた。
 足となった手の皮はこれまで以上に厚くなり、柔らかい赤ん坊の肌など簡単に引き裂けるほど爪が強固に進化している。
 四つの足で地面を蹴れば、身の丈以上の壁も跳び越せ、逃げ惑うどんな餌よりも速く走ることができる。そうやって捕まえた餌をその場で食べずに、洞穴へとわざわざ運ぶのはそこに餌を共有する仲間がいるからだ。
 俺が洞穴の中に入ると、上半身を壁に預け、手足を投げ出して眠っていた仲間がゆっくりと視線を上げた。
 俺の目には、そいつの金色の髪がまぶしいほどに見えているのだが、当の本人は暗がりに何も見えないらしく何度も瞬きをしている。
 が、見えなくても、血の匂いはわかるのだろう、
「ゾロ…てめェ、また―――」
 呻くように言うと、眉を顰めた。
 何を言われたのかわからない。
 俺は生肉をぺっと吐き出すと、
「がるる…」
と唸った。
 共通の言語というものを捨て去ってしまったことに気がついたのは、最初に仲間と再会したときだった。
 その頃の俺は獣に生り立てで、少しばかりの記憶と理性があった。なので、金の髪の痩身の人間が仲間であると認識できたし、名前も覚えていた。
 思わず、呼び掛けようとしてはじめて、
「がるる…」
としか言えなくなっていることに気がついたのだ。
 この森にやって来て棲みついてから、俺は獣になることだけを考えていた。それまで培ってきた人間的なものを排除し、自然と同化することに邁進した結果、言葉を忘れ、記憶を失くし、四本足で歩き、生で肉を食うようになっていた。
「ゾロ…。こりゃあ、てめェの仕業か―――」
 顔色を蒼白にし、適当に掘った穴に放り込んであった人骨の山を凝視している仲間は、
「なんてこった…なんてこった」
 蹲ったまま、髪を掻き毟り、世界の終末をみた預言者のように、目にした悲劇の重さに押し潰されようとしている。
 俺はそんな仲間の狂乱ともいえる動揺を静かに見守った。
 これは殺してはいけない。餌でも、敵でもない。
 俺の関心はその一点のみにしかなかった。こんな隙だらけで、しかも足を負傷しているらしい格好の獲物を前に、俺は本能を抑えるのに必死だったのだ。
 餌でも敵でもない、俺の仲間。
 久しぶりに人間的感情が湧き上がりそうになったが、言葉を忘れた俺はどうしようもなく、「がるる」と喉を鳴らした。
 仲間は絶望的なまでに暗い表情になり、なにもかも投げ出すように、その場に昏倒した。血臭に惹かれて、近寄ってみると、太股と足首に相当深い切傷を負っている。血は未だ止まらずに、仲間の衣類や周辺の地面を赤く染めた。
 俺は仲間の首筋を傷つけないよう細心の注意を払って噛むと、その身体を洞穴の奥へと移動させた。
 それから、これまで独り占めしていた餌をせっせと洞穴に運ぶようになった。
 足の怪我のせいで体力が弱っているのか、仲間は俺が運んだ位置からあまり動かない。
 時々、
「ゾロ…」
と呟く以外、息をしているのかどうか一見したところではわからないくらい衰弱している。
「がるる」
 食べろ、と新鮮な餌を置いても、仲間は無言で俺を見るだけ。
「…料理、してやりてェな。ちょこっと火で炙るだけでも…すげェうまくなるのに」
 共通の言語を有しなくても、仲間の悲しみが伝わってくる。切なげに歪められた口元は、その発言内容よりも、仲間の心情を直接的に俺に教えてくれるのだが、困ってしまう。
 一生懸命餌を運んでも、仲間は一口も食べてはくれない。満腹だということなのか、食べられないほど弱っているのか。仲間が何をどうしたいのか、何を望んでいるのかわからなかった。
 獣の俺には、こうやっている間にも、仲間に腐臭が集ってくるのが感じられる。
 だから、はやく元気になれと餌を食べるよう、鼻先を仲間の足元に押しつけ催促するのだが、仲間は頑として餌を受けつけようとしない。
 仕方なく、ひとりで餌を食べることにした俺を、仲間は黙って見つめる。
 仲間が来てから、同じことの繰り返しだった。
 細く痩せ衰えていく代わりに、仲間は絶望や寂寥を肥え太らせているようだった。





…様々な証言を集めていくうちに、我々は驚愕の新事実を発見するに至った。
それは、村の長老から語られた「ひと喰い鬼」の正体に迫る貴重な証言である。
長老によると、なんと「ひと喰い鬼」の正体は人間なのだという。人間! 我々と同じ人間が人間を襲っているという事態に、戦慄を禁じえない。
まさか―――。長老の証言を衝動的に拒絶しようとしたが、それはまったく感情に走った行動であり、我々の本分をまっとうするものではない。
我々は「ひと喰い鬼=人間」を検証するため、さらに取材を続けることにした。



…ここまで来ると、「ひと喰い鬼=人間」という仮説を否定するのは愚挙だろう。我々の綿密な取材から得られた情報、証拠は「ひと喰い鬼=人間」であると断定するに値している。
「ひと喰い鬼」の正体は、名の知れた剣士の末路である。
人々を脅かす牙の正体は、研ぎ澄まされた刀であるのだ。剣の道を究めんとするがために、森のなかで修行に励んでいた剣士が「ひと喰い鬼」となって人間を襲う。剣士になにがあったのか。
我々はひとつの事実に到達し、さらなる疑問で目の前が塞がれたが、同時に虚脱も覚えていた。
正体を突き止めたからといって、「ひと喰い鬼」を止める術を我々は持たないからである。
腕に覚えのある強者が何人と犠牲者になっていることから、「ひと喰い鬼」が相当の手練なのは明白だ。武器の代わりに、ペンを握っている我々に何が出来ようか。
我々に出来る事態の解決を計る最善、唯一の方法は、島民を乗せられるだけ船に乗せ、呪われた島を逃げ出し、海軍に「ひと喰い鬼」の通報をすることしかない。
もちろん我々はそうするつもりで、島民を船に集めた。
だが、そのとき海軍ではない一艘の船が島に近づいて来、我々の足取りの停滞が余儀なくされたのは、この記事を書いている今となっては運命だったのかもしれないと思うのである。おかげで、「ひと喰い鬼」の恐怖に終止符が打たれたことを知ることができたのだから。





 
それは、唐突にキた。
 ちょこまかとがむしゃらに逃げ転げる子うさぎの首筋を捕え、刀という牙で喉元をかっさばいたとき――――本能のみで繰り返している日常行為のなかに、不意に、天啓のようなひらめきが訪れたのだ。
 獣に仲間など必要あるのか?
 そもそもそんなものは存在するはずもない。
 獣が複数集まれば、そこではリーダーを決める死闘の火蓋が切って落とされるだろう。ニコニコ仲間ごっこをする獣なんて獣じゃない。群れの中にはリーダーがいればいい。その他はリーダーに従う下位の雄か雌だけだ。完全なる弱肉強食の階層による世界。
 リーダーの適性は強さで決まる。死にかけている仲間と、俺のどちらがリーダーにふさわしいか、考える隙もない。
 リーダーは俺だ。俺とアレは対等ではない。
 俺はその場で子うさぎを食べた。洞穴に餌を運ぶという無駄な労力はリーダーが費やすものではないと思い至ったのだ。
 そうやって、「仲間」という最後に残っていた人間的感性を手放した俺は周囲を威圧しながら、洞穴へと戻った。
 仲間から格下げになったソレは、俺が帰って来ても顔を上げることもなく、相変わらず壁に背を預け項垂れている。
 手ぶらで帰って来ることがこれまでなかったことなど気づく様子はない。
 俺は改めて、洞穴の壁と一体となっているかのようなソレを眺め、腐臭が死臭に近づいているのを確かめるために、鼻先をソレの身体に押しつけた。
「…ん、なんだよ」
 もぞもぞと動く肌の下からは心音が聞こえる。まだ生きてはいるが、確実に死臭は色濃くなっていた。
 獣が畏怖するもの、それは炎と死だ。
 ―――コレが雄でなければ。
 俺は温もりに鼻を埋め、思った。
 コレが雌であるなら負傷していようとも、死にかけていようとも、問題はないのに。
「くすぐってえ。懐くなよ、クソ腹巻き。あー…くせェ。てめェ、風呂入ってねェだろ」
 餌を自力で取れない雄は生きることなど出来ない。孤高で非情で冷徹なのが、野生の世界だ。
 仕方がない――――。
 俺は「ぐるる…」と呻き、牙ではなく本物の歯でソレの手首に噛みついた。
 じわり、と血の味が口内に広がり、瞬間、吐き出したい衝動に駆られるが我慢する。
「う、あ―――…!」
 突然の攻撃に驚いたソレは体勢を崩し、地面へと転がり倒れた。逃がすまい、とその上に伸し掛かった俺は手首から移動し、今度は首筋に噛みつく。
「ッてぇ……! ゾ、ゾロ! お前、なにすんだ―――」
 その血は奇妙な味がして不味かった。喰いたくないと感じるが、食べるために殺すのではない。
 自力で生きられないものは死ぬしかない。
 それが自然の摂理、淘汰だ。俺はリーダーとして、群れの足手まといになる雄に最後の引導を渡してやらなければならないのだ。
「ゾロ……」
 ころん、と転がったソレは俺をまっすぐに見上げている。
 追い詰められた餌は、恐怖のあまり硬直するか、全てを諦めるか、最後まで抵抗するか、概ねそのような反応であるはずなのに、ソレの反応はどれでもない。
 ただ、じっと息を潜め、何かを探そうとしているかのように、神経を研ぎ澄ませ、俺を見つめている。
 ――――なにか言わねば。
 獣としての衝動を掻き分け、水面に浮かび上がる水泡のような想いが弾けた。
 コイツに、なにか言わねば。
「がるるる…―――」
 ことば。
 そう。言葉だ。なにかを言うためには言葉が必要だ。
 思考するためだけの記号ではなく、伝達手段としての言葉を思い出さなければ。
「――――ゾロ……」 
 血で口元を汚したまま動きを止めた俺を促すでも、怯えるでもなく、ソレは相変わらず見ている。
 見つめながら、
「ゾロ」
 優しく語り掛けてくる。
 俺にはわからない言葉で。
「――――おめェは、獣じゃねェ。剣士だろうが。思い出せ。仲間のこと、野望のこと、俺のこと」
「がるる…」
「どんな姿になっても、てめェはてめェだ。俺にはわかる。なあ、ゾロ」
「がる――――」
「目を覚ませ」



 鰐に噛みつかれたときには、無理に腕を引き抜かず、逆に喉の奥に腕をねじり込めばいいと教えられたことを思い出した。
 そうすれば鰐は驚いて、口を開けるから、その間に腕を引き抜けと。
 噛みついていた相手に、逆に噛みつかれた俺は鰐と同じ心境で、驚いた。
 正確にいうと、噛みつかれたのではない。羽毛のように、そっと唇が俺の唇に重ねられたのだ。
 俺の口元を汚している血が―――それはもともと相手の血だが―――目の前にある白い顎を汚す。
 肉が削げ落ち、顎の骨の形がそのままわかるほど尖った顎を赤く染めたソレの首元には俺の噛み跡があり、真っ赤に染まっている。
「ゾロ……」
 ひとまわり小さくなった身体が精一杯、顎を突き出してくると、またその唇が俺の唇に触れた。
 相手の微風のような吐息を飲み込み、俺は真昼のよう明るく見えていた洞穴の中が実際は闇に沈んでいることを思い出した。
「がるるるる」
 これまで通り唸ろうとして、戸惑う。唸り方がわからなくなっていたのだ。
 代わりに、


「……ク―――」


 声が出た。


「―――コ、ック」



 言葉が出た。







我々は、海賊船の船長だと名乗る少年の不思議な押しの強さに導かれるようにして、森の奥深くへ入った。
彼は島を脅かす「ひと喰い鬼」の話を聞くと、「Z(仮称)がひとを喰ったのか! なんっっってひでェことをするんだ!」と我々が呆気に取られるほど怒りだし、驚くべきことに、「ひと喰い鬼」は自分の仲間だと言い出した。
今からとっちめに行く、という彼とともに森に入った我々はすぐに後悔しはじめた。森は鬱蒼としており、いつ狂った獣と化した人間が飛びかかってくるかわからない恐怖が競りあがってくる。
徐々に重苦しい空気になるなか、ひとり飄々として先頭を歩く少年の頭がおかしいのではないかと疑心に囚われた我々の勇気のなさを責めないで欲しい。
そのときの我々は、その少年が高額の賞金首である悪名高き海賊であることなど知らなかったのだから。




これが「ひと喰い鬼」の末路である(写真右下1)。埋葬した墓(写真右下2)。喜びの宴をする島民(写真中央)。




我々がこの貴重な写真を撮ることが出来たのは、すべて勇気ある海賊たちのおかげである。
「ほらよ」
少年船長とともに入った森で、我々を出迎えた人物はそんな何気ない言葉とともに、一匹の―――いや、獣と成り果てたひとりの憐れな死体を放り出した。
「Z…! お前、ひとを喰ったのか!」
血相を変えて飛び掛った少年船長をぎょろりと睨んだ人物こそ、Zであり、死体を放り出した人物でもある。
「んなモン喰うはずねェだろ。ひとを喰う狂った剣士は、そいつだ」
驚いた我々は、土にまみれた死体を検分した。獣の皮を頭から被っていることもあり、一見すると大きな得体の知れないまさに「ひと喰い鬼」と称するに値する常識外の生物にみえたが、確かに、腕の部分に隠し刀を仕込んだ人間であった。
「恐らく薬か何かで狂っちまったんだ。闇雲に人間だけを襲いやがって―――やたらと敏捷で、まるっきり獣に成り下がってやがったから捕まえるのに苦労したぜ」
Zは不本意そうに言うと、洞穴に姿を消し、再び我々のところへやって戻って来たのだが、さきほどの死体を放り出したときとは雲泥の差の大事な扱い方で、ひとりの男を抱えていた。
「S! 元気か!? Zを迎えに行ったのになかなか帰って来ねェから探しに来たぞ!」
少年船長は満面の笑みで飛び上がり、ひとりの島民が声を上げた。
「あ! あんたらはこの前、島にやって来た――――」
Zと呼ばれる男が一ヶ月前。Sと呼ばれる男が二週間前―――彼は金髪なので恐らくC氏の証言に出て来た人物だろう、「ひと喰い鬼」をやっつけるためにヨソからやって来た者たちだということだった。
Sは重傷であったが、それは彼は「ひと喰い鬼」をやっつけるのが目的ではなく、それをやっつけるために上陸したZを探しに来ただけであり、その油断をつかれて、「ひと喰い鬼」に襲われたという話である。
ZもSも少年船長の下で働く海賊団の一味であった。
何故、海賊がわざわざ人助けをするのか疑問に思われるだろうが、Zは剣豪を目指しており、「ひと喰い鬼」となった剣士と手合わせをするためにこの島へやって来たそうだ。
ふたりの対決は凄まじいものであったのだろう。それを示すのは、Sほどではないが、Zも至るところに傷を負っていることと、ある地点から木々がなぎ倒され、まるで大嵐に見舞われたようになっている森の惨状が物語っている。



 S(19)証言


「クソひと喰い野郎を捕まえるために、このアホウ(Z)は自分までも獣になりやがったんだぜ。で、アホウにも自分が何者かもわからなくなっちまいやがって、森を彷徨ってやがるから、俺様が苦労して元に戻してやった。ソイツ―――鬼って呼ばれていたヤツは、本分を思い出したどアホウ剣士(Z)と対決して破れた。狂っちまっていたが、最期は剣士としての勝負で死ねたんだから本望じゃねェのか。おい(島民に向けて)、この島の鬼はもういなくなったから、安心しろよ」


 Z(19)証言


「アホウはてめェだ、クソ眉毛(S)。ひと喰い剣士の犠牲者の骨を集めてあったのを見て、俺がひと喰いになったのか勘違いしやがったくせに。―――この野郎(死体に向けて)、狂っていたのは確かだが、剣捌きはまともだった。正常なときに、対決したかったぜ。まあどっちにしろ、勝つのは俺だが」


 S(19)証言


「ざけんな。生肉、もりもり食べくさりやがって。俺にも噛みつきやがるし、獣化したまま放置してやりゃあよかったぜ」


 Z(19)証言


「獣となった敵の呼吸を読もうとして、のめり込みすぎちまったのは認めるが、ああでもしねェとコイツを捕まえることは無理だったんだから仕方ねェ」


 S(19)証言


「限度があるだろうが! ミイラ取りがミイラ取りになる典型的なパターンじゃねェか!」



 少年船長L(17)証言


「そんなことより腹減った! はやくメシ作ってくれよ〜、S!」



…と、まあ紙面を割くほどでもない気軽な会話を交わして、お礼をという村長の申し出を断り彼らは去って行った。
青空に海賊旗をはためかせて。
ここで彼らの名前を明かすことはやめておこう。
恐らく、近い未来、彼らの名がグランドラインを越え、世界中に轟くことになれば、そのときこそ名前を公表しよう。数多語られるだろう、彼らの冒険談のなかにこの「ひと喰い鬼」の些細な物語も加えられる日が来ることを願って。






月刊【グランドライン】特別編集部 別冊【グランドライン・猟奇事件特集号】より







『海賊航路』夏様よりいただいてまいりマシた〜v
び、びっくりした!!
ワタクシもまんまと騙されてマシたよ最初(笑)
えっ、旦那誕生日なのに?!とか(笑)
サンちゃんと一緒v←何故嬉しそうか。
そして本当にそんなサイドストーリーがあってもオカシくないんじゃない?!
とか思ってしまいマシた!!
ところで美女て(笑)←コメント。フツーにゆーとる(笑)
夏様ありがとうございマシたv


→2006ゾロ誕
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