嘘つき






【ルフィとサンジ】



「サンジは嘘つきだなぁ〜」
深夜のキッチン、明日の朝食の仕込みだろうかシンクに転がした玉葱とにらめっこ中のコックへと背後からかかる声。
「ルフィ?」
分かってはいるが、振り返り確認。
「なんだよこんな夜中に珍しいな。腹でも減ったか?」
普段の彼ならばすでに夢の中である。
起き出すとしても時間的にはもっと後だ。
盗み食いの為には。
まあつまり、この時間帯に起きて来るのは珍しい。
「で?なんだよ嘘つきって。」
心外だが問うてみる。
彼がわざわざこうやって、口にする事だ。
普段サンジに向かって「メシ、肉、おやつ」しか吐かなかろうとも(ヒドイ思われようだ)たまに口にするこういうカタチでのコレには何らか意味がある。
だがルフィは答えず、鼻歌まじりでシンク脇に転がされたクルミをひょいとつまんだ。
「あっ、コラ!そりゃ数少ない貴重なケーキの材りょ…」
慌て、言いかけて口を噤んだ。
が、
「な、ホラ嘘つきだ。」
ニッと笑ったルフィは殻付きのそれを元の場所へと戻す。
「…かなわねぇなあ。」
サンジは言い訳を諦め溜め息を吐いた。
つい『数少ない』なんて言ってしまってしっかり墓穴。
「ゾロの誕生日用のケーキだろ?サンジ昨日大丈夫だってパーティの準備してたろ。食材、あんのか?」
まるで最近どう?とばかりに先ほど話していた内容とのつながりもなにもなくでけろりと尋ねるが、本来由々しき事態だ。
海上で食糧が尽きる。
イコール単純にどうなるか。
そんな不安になって然るべき事態にしかし船長は不安な様子など微塵もなく、むしろ笑って簡単に。

「で?テメェはそこまで知っててなんで盗み食いしようと?」
そう、分かっているならばよけいな体力も使うべきではないしで控えてくれればいいものを本日を除いて毎夜バトルだ。
食材が残り少ない、となれば少しくらい遠慮してもいいところだろう。
いや船長として少しくらいどころか断固遠慮するべきだ。
けれど今、この場で激怒し蹴り飛ばす気もないサンジは呆れて溜め息。
彼の回答を待った。
ら、
「んんっ?約束だ!!」
何故か楽しげに答える。
何の事やらさっぱり。
だったがとりあえず、聞いてみた。
「…誰との。」
しかも盗み食いが約束とは何事か。
それが本当ならばその人物を吊るし上げなければ。
「ありっ?違った?」
けれどサンジの眉間の皺に、船長は首をかしげた。
どうも噛みあってない感じだろうか。
とりあえずと確認。
「なんの話だよ。」
返された船長は暫し口をへの字に腕組みで困り顔。
後 
「あッ、分かった『お』約束だ!」
ああ、
「なるほどね…で、意味分かって言ってんのか?オマエにしちゃ難しい言葉知ってんじゃねぇか。」
「知らね!」
やっぱり即答。
「ナミが言ってた。」
「…」
これもなるほどである。
「あ〜…てこたナミさんにもバレてんなこりゃ。」
なんてこった。
情けねぇぞオレ。
サンジは額に手をやり反省。
彼らは知らないふりをしていてくれただけだ。
だからこそ、『お約束』と盗み食い(未遂)を遠慮しなかった。
黙ったまま眉を下げる彼に、船長は一言。
「祝いたいんだろ?」
だからよけい、隠してんだよな?



「テメェは変なとこばっか鋭くてヤんなるぜ…」





えー…
分かりにくくてすいませんデスが続いてマス(汗)
次はゾロとナミ編て事で。



→next                                                 →2006ゾロ誕
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送