--- 無茶言うな!これ以上何が欲しいんだ。---







「ゾロさん?……いいよ、11月11日だね」



直接の携帯番号もイマドキなメルアドも知らない、
まだそんな客とホストの関係なのに、
この間来たゾロって客がオレを一日独占したいらしく店外デートをせがんだ。



強気な男だった。
まあお互い様じゃあったけど。
無口だが時折発する台詞がシニカルで底なしに酒に強い男だった。
太客シャンクスの後輩だとかで、
大事な商談の帰りに連れてこられたとか言ってたか。

オレは仕事だからいつものように浮ついたジョークを飛ばしつつも、
エロっぽい眼差しなんかキメこんでシャンクスにじゃれた。
シャンクスはまたか……といった顔でオレを子供扱いして酒をすすめて、
その横で初対面のゾロにもチラチラと色目をオレは送りまくり、
時々わざとらしくゾロの太股をさらっと触ったりしてやった。

けど、あいつ、ノーリアクションだ。
睨むでも拒むでもなく酒をどんどん呷る男だった。



「強い男はナニん時も強いって言わないか?どう?ゾロさんは」

「さあな。悦び泣き叫ばれても悲しませたことは一回もないな」

「はっは〜。流石シャンクスの後輩さんだけあるね。格好いいや、オレもあやかりたいっ」



何故か腹が立ったんでシャンクスの耳を甘噛みしながら睨んでやった。
オレがホシイだろ?な顔して挑発してやったけども全然ソノ気な顔は出てこない。

なーんだ、オレには興味ねんじゃん。
アソコも全然固まってきた様子もねえし。




あの晩、帰りがけにシャンクスがこう言った。

「おまえってわかりやすいな、サンジ。まあアイツにならいいけどな、俺は」

「誰だよ?ゾロか?……まっさか」

早々に店を出たゾロのことなんかオレは……オレは。




いろんな葛藤状況を割愛したけど、
正直に漏らそう。
あぁ、ゾロのこと、凄く気になった。
あの傲慢な態度、あのいけすかない悪気だらけのジョーク。
オレを最高のホストに見てやがらなかったあの視線といい豪快な酒を呷る唇といい……。

手にしたことがない生き物だ、ゾロってヤツは。
チクショー!!
好奇心が欲望がまずは一発お試し気分が暴発しそうだ。




そんな悶々とした日々の中で突如やってきたこのチャンス。
オレは絶対逃がさないぜ。




店の前に着けたイタリア産の紅いスポーツカー。

「ド派手なお迎えサンキュ、ゾロさん」

「シャンクスが貸してくれた。デートくらい豪華にやれだと」

「で?今日オレを一日どうしてくれちゃうわけ?終日借りてくれんでしょ?」

「あぁ。俺の誕生日なんでな」

「へえ〜?今日誕生日なのか。そりゃおめでとさんで。……な、煙草吸っていい?」

聴いてないフリしてあさっての方向いて。
けど己の誕生日にオレを店外デートに誘ったその意図、ふんだんに知りたくてたまんない。



ゾロはこの後どう出るんだ?
サングラスの奥の目がチラチラオレに向けて動くでもなく、
淡々とゾロは運転をこなしてゆくだけだ、超いらつく。
音楽でもかけてくれたらまだマシなのに。



「何がホシイ?オレ、ナンバーワンホストだから結構悦ばせんのウマイよ?車とか急に言われると困るけども、スーツとかなら最高級のイタリア生地でオーダーしてやってもいいぜ?どうだ?何ホシイ?」
「……オマエだな、俺は」

「あげてんじゃん、今夜終日ゾロのもんよ?オレ。充分じゃん」

「そんな軽いモン、終日過ぎれば終わりじゃねえか」

「何言ってんだ、オレの一日をあげるってのはー相当凄いことなワケ。わかってないねぇ……」



湾岸へ向けてひたすら走り続けるこの男。
ずっとずっと涼しい顔のままだ、誕生日のくせして。
オレをすぐ横に独り占めしてるくせして。



「ホテルかどっかとってんのか?すげえ所にしてくんねーと燃えてやんないぜ?言っておくけど」

「察しがいいな、だてに人を挑発すんのに他人の耳舐めてねえな」

「なにを!……こちとらあれも商売のうち、騙されやがって。あんなので今夜のデート決めたんっすか?あらら〜、ゾロさんはもっとクールな男だと思ってたけどなぁ」

「今夜の予約を入れたのはシャンクスだ。最高のプレゼントだとよ。俺は素直に受け取っただけだ」

「あれあれ?シャンクスの恋人なのか?ゾロって。こりゃやべえ、傷つけないで返さないと怒られそうだ」

「俺にくれるんだろうな、オマエ。覚悟あんのか?」

「あるよ?オレ、太客はちゃんと溢れる愛でお返しするタイプっすから」



あんたもオレのカラダが目当てってコト?
カラダ目当ての男にはカラダしかやんねーよ?オレ。
それで明日もあさってもオレが潤ってあの店でナンバーワンで、
老後の不安でもなくなるならいくらでも愛してやらあ。



んなこと思ってる割にはオレ、なんだかな。
この沈黙のせいかもしれないけどな。
ちょっと心が悔しさで霞みそうになる、なんでだろう、
まだドライブしかしてねーってのに。





最高級ホテルの最上階の豪華スイートでオレとゾロはコトを始めた。



カフスを外すしぐさからしてこの男、ゾロは物凄くオレにエロかった。
隆々の胸の筋肉の上に絶対つけてなさそうな気がしたネームタグがひとつ。
海兵でもないくせにこの男、キラキラとオレの目の前で外してみせた。



「脱がしたい方?それともオレがエロく目の前で脱いでみせるのが好みか?ゾロ」

「早く俺のホシイもんよこせ、つべこべ言ってねえで」



そう言うとこの男は、俺を抱えてベッドに投げつけて上に乗って。
ネクタイを外して両手を縛り付けてくれちゃったりなんかして、
んなことしたらスーツもシャツも脱げねえじゃんとか思いながらシャツのボタンが外されてって。



「無茶なタイプだな、ゾロ。欲望が先か?ヤれりゃーそれで満足か?」

「だからよこせっつんだろが、オマエがくれなきゃどれでも同じだ」

「何をだよ!こんな格好にさせといて無茶言うな!これ以上、オレの何が欲しいんだ!」

「わかるまで自分で考えろ、終日だろ?……んならわかるまでつきあってやらないでもない」



縛りつけた両手を握ったまま激しいキスをオレの首筋に大量降らせたゾロ。



こいつ、キスだけで……スゴイ。
オレを早々に驚嘆の深い海へと泳がせてゆく。
こんな声をオレは正直はりあげたことがない。
自分がコイツの女かと思うくらいの艶めいた声で啼きっぱなしになってしまう、惜しげもなく。
啼いてないと、とんでもない要求の台詞をオレからどんどんしていきそうな勢いだって正直していた。



オレが先に堕ちてどうするよ、おい、ナンバーワンホスト。



「これじゃねんだよな、俺が欲しいのは」

「ど、……どれなんだよ、こんなにしといてこれじゃないなんて……何がホシイんだ」

「こん中の……サンジ、をな」

「ええ?」

オレの胸に唇を押しつけて掘るかのような舌の舐め方にまた身悶えるオレ。

「悶えるオマエのこの身体の奥の中のプライドと一緒にもれなくついてる俺への愛が欲しいな」

なにを!

「外側のオマエはともすりゃみんなのモノだろう?そりゃそういう仕事だ、仕方ない。俺は他の奴等と同じモンが欲しいんじゃねえよ。その俺に出会ってからのオマエの俺に注ぐ興味の先の愛ってヤツが欲しいんだよな。誰にもきっと預けたり捧げたりしたことのない無菌状態のそのハートってヤツをな。どうだ?くれる気あるか?……っていうかくれる気、もう満々だろうが?こんなにオマエを満たしてる男だって外側のオマエはうんうん頷いてんのに」



確かにどこもかしこも頷きっぱなしのカラダさ、さっきからずっと。
ゾロのあちこちで擦れる度に息子のヤロウ、
制御不可能になっちまってて特製ラブジュース零しまくりだ。



「言葉に出来ない程に燃えてんのか?んあぁ?もう降参か?堕ちたか?……キライって選択肢はないよな?」



ネクタイを解き俺が弛緩してる間にさっさと服を剥ぎ取られもう一度甘いキスをされた。
寝かしつけた子供の側に親が寄り添うようなそんな腕枕をされながら。
ホストのホの字の態度もオレにはもうなくなっている様子だろう。



「くれるか?おい……俺はその辺の安い感情やカラダの関係なんかおまえからもらって満足する気はないぞ?ココをくれ。おまえのココ。それをくれるならこの外側のオマエだって……もっと最高にさせてやるから」



どんな脅迫だ、要求だ、傲慢さだ。
自分の誕生日にどうしても欲しいオレの本音。
けど、かつて誰にもやったことのないオレの本当の愛欲。



「万が一この関係がウソだったら……って恋愛が始まればいつだって思うだろ。特に客とホストの関係なんか金で保ってる綱渡りだ。誰も信じられ合えなくて当然だろ?……怖くもなる。二度目の接客で店外デート受けてそれだけでもスゴイオレの冒険をオマエはもっとくれとせがむ。本音をくれとせがむ。……こんなの、そう簡単に鵜呑みに出来る方がオカシイ」

「信じられなきゃシャンクスにでも聴け、俺の人生。あいつの元で育ったようなもんだから。今すぐ電話して聴くか?俺が誰にも見向きもしないで今日初めて男を抱くことをオマエはバカにして今から服を着直して出て行くか?それだけの相手だと、オマエの目に狂いがあったと思って立ち去るか?俺はしない。俺の誕生日に誓ってでもウソはつかない」



そう話しながらゾロが下を脱ぎ裸になっていく。
誰も抱かないで持て余していたには勿体なさすぎの肉体。
ウソなのか本心なのかはオレが本気になってからわかるコイツの全身。



「ゾロ、……ホストの恥は惨めに堕ちることだ。華々しく散るならともかく。……オレの立場もわかれ」

「わかってるから無茶言っても欲しいんだぜ?その心」

「……誕生日だからか?」

「あぁ。正解。俺の年に一度しかない誕生日だからな」



ぶつかるぶつかる雄と雄。
もう待ち切れないカラダとカラダ。
もう隠しきれない心と心。



「そこまで本気なら……くれてやるよ……そのかわり、オレを裏切ったらタダじゃおかない」

「その言葉、そっくりそのまんまオマエにお返しするよ、バーカ。もういいから、さっきみたいに甘えて叫べ。オマエの喘ぎ声、……相当燃える」



ぐわっと力強い両腕が腰に巻き付かれて、
もう離してはもらえまい、終日このまま過ごすことになるだろう。
とうとうオレはその強さと愛欲とやらに負けてこの男をゆっくり強く抱き始めた。



オレはオマエの、オマエの中の心も今抱いているんだ。
誕生日に誓ったオマエの心を鷲掴みしてるんだ、……よな?ゾロ。




明日の出勤、オレ無理……だな。












「凌駕煩悩乱レ咲キ」様より『W.A-Side』八木橋様の作品をいただいてまいりマシたv
投稿させていただいたタイトルをゲットしていただけた上に、こ〜んな素敵な作品書いて下さいマシた(感涙)
最初っから気になって仕方ないサンちゃんがカワイすぎデス〜vvv
なんか必死だよぅ(喜)
平気な顔して欲しがってた旦那も素敵〜vvv
八木橋様ありがとうございマシたv


→2005ゾロ誕
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