--- この先何回テメエとこの日を祝うだろう---
「ねえ。いつにも増して激しくない?なんで?」
「さあ」
「いつもよか酷くない?」
「そっかぁ?こんなもんだろ、あの二人は」
喧嘩は日常茶飯事ではあるが、
今日の二人は燃えていた。
なぜだか燃えていた。
それはじゃれあい以上のものがあった。
が、しかし、当の本人は闘魂魂丸出しで喧嘩しあっていた。
ばかばかしいやりとりなのは百も承知。
それでも二人は繰り返す。
先の見えない大海のド真ん中で。
「ひぃ〜〜……しっかしおまえ、相変わらず負けねえな」
「おまえに負けるわけが……ねえだろが」
「いや、とうに負けちゃいるんだがよ」
「どこが」
「そうだな、精神か」
「あり得ねえ。おまえのエロコックぶり見りゃー一目瞭然俺の勝ちだ」
「なにを!?おまえ、自分がんな格好イイこと出来ねえのをやっかみ隠してそういう言い方すんじゃねえ」
「なにを〜〜!?うっせー、もっかいだ、立て!立ちやがれ!!」
「はいはい……うっせーな、ったく」
そして闘いは再開。
いつまで続く、この二人……。
「見てらんないっていうか、見てる方が暇人臭く見えて切なくなっちゃうわっ、もう」
「確かに。放っておこうぜ?チョッパー、あいつらの傷の手当はしてやんなくていいからな。ありゃ趣味でやってんだから、あいつら、な?」
「趣味かー。……ゾロもサンジも変態だ」
「ある意味そうね。いいんじゃない?楽しそうだし、コックさんも剣士さんも」
それぞれが散って行く、いつもの場所へ。
闘う二人にはまったく見えてない姿ではあったが。
夕陽が落ちて、二人の闘いもそろそろ終わりを告げようとしていた頃。
「お、夕飯忘れてたぜ、やべー」
「なあエロコック」
「なんだダメ剣士」
「ダメだきゃ余計だ。……今日のその、夕飯は普通にしろよ?」
「んあぁ?……恥ずかしがり屋のバカヤロウの誕生日リクエストじゃ仕方ねえな、そうしてやるよ」
「やらねえくせして。……去年もそうだっただろが」
「わかってんならそろそろ察しろ、バーカ」
悪態の悪態返しで止めどない二人のやりとりは、
もう何年と続けて行われている行事のようなもの。
口には出さないがその辺りのさじ加減、
近年では互いもまんざらイヤな会話じゃない様子で。
「なぁ、この先何回テメエとこの日を祝うだろうな、俺」
「わかるか、自分で考えろ」
「たまには考えろよ、そういう所も」
「じゃあテメエは自分の誕生日ん時も同じようなこと考えてんのか?」
「自分時は……んなの知るか」
「だろが。自分のことはこういう日は棚上げだ、それに、……何回とか考えたくねーだろ普通」
「それ………おい、……ゾロ」
「なんだよ?」
「ずっとこの俺に祝ってホシイって言いてえのか?本当の所は」
「どこまでおまえは詮索すりゃ気が済むんだよ……ったく」
「あーいい、みなまで言うなみなまでは。よっしゃ、わかったおまえの本音は暴いた」
「何も言ってねえじゃねえかよ」
「よしよし。……夜おまえ見張りだろ?美味い酒こっそり持ってってやるから安心しろ」
「何の安心なんだよ?わっけわかんねえ」
サンジは一人満足してゾロの側をゆっくり離れて行った。
そしてすぐさま宴は始まった。
相変わらず誰の誕生日だかわからない11月11日であった。
そんな所は実のところ普通の大騒ぎでいいのだ。
二人にとっては。
夜。
見張り台に立つゾロ。
雪が降りそうなほど寒い真夜中だった。
「ほれ、持って来てやったぜ」
グラスをふたつ赤ワインを3本。
つまみを少々。
「お、悪いな」
「まあいい、何回でも祝ってやるよ、仕方ねえから」
「仕方ねえってのは余計だ。それに、その『何回』って、今日のことか?」
「……っへ、知りたいか?知りたきゃ毎年俺の誕生日祝え、いつまでも」
「約束かよ、っちぇっ、俺の誕生日なのにおまえは……」
「俺は陸に戻ってもおまえの誕生日くらい祝ってやる自信あるぜ?約束なんかわざわざしなくてもな」
グラスにとくとくと注いだ芳醇な赤ワインがやけに二人をたるい世界へと押しやった……
とでも言っておこうか。
サンジが『乾杯』と小声で呟き、カチンと寒空にグラスの音が飛んで行き、
飲み干した後はもう二人の重なり合った吐息しか響かない。
そんな毎年同じことの繰り返しな誕生日。
永遠に何回でも祝ってください、お二人さん。
おわり
またもや「凌駕煩悩乱レ咲キ」様より『W.A-Side』八木橋様の作品をいただいてまいりマシた!!
調子に乗ってたくさんすいマセん(汗)
だって…っ、だってっ!!←なんだオマエ(笑)
喧嘩上等デス!!!
二人の関係がなんとも言えず素敵デシたのでvvv
八木橋様ありがとうございマシたv
→2005ゾロ誕
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